AK1977_2613NT


 AKさんより、ご所有の1977年製の2613NTの投稿がありました〜。
 詳細な説明の文面も届けられておりますが、まずは画像をご覧ください〜!! (いやはや、ナンバードモデルのAR、しかもデタッチャブルネックのものは、ほんと、希有ですよね...。)


















ということで(?)、今回の投稿のきっかけとなったのはこのギターを保管するケースのことで、それに関連して掲示板の方に書き込んでくれたということです。そして、AKABAさんや風さんのレスポンスを経て(?)、SKBのハードケース購入に至ったようです。<上の画像にも写っていますので、ご参考に〜!!

 ま、私の前置きはこれくらいとして、AKさんが用意してくださった文面を以下に記しておきます〜。

---以下、引用---
本機種(AR 2613)について。

このギターは1997年に友人よりタダで頂いたものです。
なんでも、元々友人のお父上が所有していたギターだそうで、物置でボロボロになり、ホコリ塗れだった物を頂いてきました。当時、私も彼もこのギターについては全く知らず、このギターをくれる際、友人が「格好悪いギターだけど本当にいいの?」と私に聞いてきたことを覚えています。私はなんだかこのギターにはとても惹かれる物があって、「こちらこそ無料でもらってしまっていいの?」と聞き返したはずです。

以下、ギターの状態について。

元の状態では:
@トグルスイッチがプッシュ式のスイッチに。
Aコントロールノブが2つ欠品。残る二つには安っぽい黒い物が。
B回路が大分弄られていて、リアしか音が出ず、更にアクティブサーキット化されていた模様。
Cピックガード欠品。
D背面に大きなステッカーとクラック。(これらは現在もそのまま)

という感じでした。

私もちょこちょこ弄りつつ、何とか治せないかと思っていましたが、2009年の暮れにとうとう音が出なくなったばかりか、ボリュームノブなども固まってしまった為、ESPにリペアをお願いいたしました。

リペアしたのは以下の通りです。

@ボリューム、トーンなど、サーキットを全取替え。
Aプッシュスイッチをトグルスイッチに。
Bトグルスイッチのコントロールはレスポールと同等(リア→ミックス→フロント)に。
2010年2月初旬にお願いし、2010年2月14日に無事、仕上がってきました。サウンドはレスポールっぽさもありながら、若干繊細で滑らかなサウンドです。太すぎず、優しい音色であると思います。

以下は添付した写真の解説です。

・全体像
全体の形は現行ARと同等と思われます。

・星型インレイ(ネック・ポジションマーク)
ポジションマークには星型が使われています。星の周りは淡いクリーム色の塗装が施されていますが、経年劣化で剥離しています。塗装の下から覗いている色はシルバーです。

・ボディ
大きなトラ目です。ピックアップは恐らくSUPER 70であると思われます。サビが出ていますが、ノイズ等なく、スムーズなサウンドです。

・ヘッド裏
ペグはポジションマークと同等に星型です。

・ボディ裏
クラックと、大きなステッカーがあります。

・ネックプレート
写真では大変見えづらいネックプレートには、J770806 MADE IN JAPAN の刻印があります。1977年製ということでしょうか。本機種が本当に2613であった場合、最終年に製造された物と思われます。

・ケース
ハードケースにはSKBの56(レスポール用)を使っています。
サウンドハウスの購入者レビューにもありますとおり、ARには本当に誂えたかのようにジャストサイズです。初めて入れる時、一瞬「少しきついかな?」と思いましたが、一度入れてしまうとケースが馴染んで、次からはピタッと収まります。TSAロックなどもついて、安価にもかかわらず作りはかなり堅牢です。AR用として皆さんに自信を持ってお勧めできる一品だと思います。

以上です。

最後に。このギターへのケースを探す際、掲示板において暖かい返信を下さった、風さん、AKABAさん、そして管理人でもあるHASENOBUさんの三名の方々に心より深く感謝を申し上げます。

--------------------------------------------

2010年2月14日
for「AR愛好家の部屋 」
by AK
無断引用、転用の類は全て御遠慮下さい。
---以上、引用---

 ということで(?)、実は最初、携帯電話のカメラを使用しての撮影画像でしたが、(私のワガママな要求に)すぐにお応え下さって改めて送っていただいたのが上の画像です。そして、さらに追加の説明文面も添えられていましたので、それもこちらに記しておきます。(入手の経緯、それにまつわる後日談、胸にじ〜んと来るものがあります...。(涙) どうか、このギター、これからも大切になさって下さい...。)

---以下、引用---
一つ前のzipに封入したテキストファイルで書き漏らしたことなど。

・ヘッド裏に黒いシール
画像では少々見えづらいのですが、筆記体でsuper70'sと書いてあります。

・ボディ裏、落書き
ボディ裏には白い油性マジックと思われる物で、拙い感じのするひらがなが見られます。殆ど剥がれてしまっているので判読は大変難しいのですが、「てつ*ろ(改行)だよ」と書いてあるように見えます。もしかしたら『てつ*ろ』は、てつひろ、でしょうか?
元の所有者の名前かもしれません。(ちなみに、このギターをくれた友人は「てつひろ」ではありません。)

・フロントピックアップのエスカッションの歪み。
これは私が頂いた時からこのような状態でした。形状・大きさ的にエスカッションが歪むのもしょうがないようにも見え(ネックエンドとフロントピックアップがかなり近い)、通常のARではどのようになっているのか興味があります。

-------------------------
以下は、私が友人にこのギターを貰った際のエピソードです。

 当時、ギターを始めたばかりだった私は、同じくギターを弾く友人と知り合います。彼は私にとって初めての楽器仲間でした。ある日、いつものようにお互いにギターを弾きながら、知り始めたばかりの様々な音楽の話(二人の趣味で Guns n' Roses や NIRVANA の話題が多かったように思います)に興じていた際、ふと私が、「ああ、それにしてもギターは楽しいなあ。もっともっと、どんなのでも良いからギターを弾いてみたいなあ」という趣旨の言葉を漏らしたところ、友人が「そういえば実家に一本、使ってないギターがあるから、良かったらあげようか?」と、言ってくれたのです。

 ギターを始めたばかりで、お金もなく、とにかくどんなギターでもいいから弾いてみたい、手に入れたい、という衝動があった当時の私は、すぐさま飛びつきました。「いいの?!」と詰め寄った私に、彼は苦笑しながら「でもなんか凄くボロいギターで、ちょっと格好悪いよ?」と言ったのを覚えています。

 その日の夕方、早速その友人宅に行き、二人で物置(もはや倉庫と呼べそうな大きな物でした)の中を捜索しました。ほどなく見つかったそれは、安っぽいソフトケースに入り、見るからにボロボロの2613でした。

 本当にこんなギターでいいのか、と言う友人に何回も礼を言い、私はその薄っぺらいソフトケースを大事に抱えて家に帰りました。とにかく早く音を出してみたくてワクワクした家路でした。

 無事に家に着き、急いで予備のギター弦を張り終え、アンプにつなぎ、とにかく音を出してみました。その時の驚きといったら言葉にするのは難しいです。それまで私が使っていたのがFenderJapanのテレキャスターだった、ということもあり、「同じギターという楽器なのにこんなにも音が違う物なのか!」と、興奮を抑えることができませんでした。当然ながら当時、ギターの音の良し悪しなど分かりはしませんでしたが、テレキャスターに比べて太く、甘いサウンドは私を大変喜ばせました。

 翌日、「どうだった?」と聞いてきた彼に、私は前日に自分が感じたことを沢山の言葉で伝えました。そして、「やはりタダで貰うのは申し訳ないから、幾らかでも払いたいんだけど」と切り出しました。彼は少し困っていたようでしたが、やがて、「それじゃあ250円でいいよ」と言いました。不思議に思った私が「なんで250円?」と聞き返すと、彼はニヤリと笑って、「マイルドセブンひっとはっこぶ〜ん!」と、妙な節をつけて言ってのけたので、思わず大笑いをしてしまいました。ちなみに250円は当時の値段ですね。

 結局、サービス?して、二箱を彼にプレゼントして、このギターは正式に私の物になりました。それから割と直ぐに回路の老朽化に由来すると思われるトラブルが頻発し、まともに音が出なくなってしまいましたが、リペアする資金を工面できないことを申し訳なく思いながらも、大切に保管し続けてきました。(ソフトケースを少し上等な物に換えて、湿度管理剤を同封しておきました)

 あれから10年ほどもたったでしょうか。今年、とうとうこのギターをリペアする機会に恵まれました。念願かなって、という言葉が大変しっくり来ます。そして、リペアに出した後で、「ハードケースが欲しいな」と思い立ち、インターネットで検索をかけたのが「AR愛好家の部屋」さんとの出会いになりました。

 今、綺麗になって戻ってきたこのギターを抱いて、感無量です。終わりに、……これは書こうかどうか最後まで迷ったのですが、もう誰に語る機会もないだろうと思いますので、書き残しておくことにします。

 実は、このギターを譲り受けた時点で、元の所有者である、友人の父上は既に故人でした。いつ亡くなられたのか、どういう人物だったのか等、詳しいことは私には分かりません。ですから、この希少なギターをどうしてお父上がお持ちだったのかも分かりません。友人も知らないようでした。

 私が、友人のお父上が既に故人である、ということを知ったのは、実は随分後のことで、どうして友人が、いわば形見ともいえるこのギターを私にくれたのか、それも分かりません。そして恐らく、永遠に分かる時はこないでしょう。と言いますのも、その友人も今から5年ほど前に不幸な事故で既に亡くなっているからです。不思議な縁でこのギターは、私にとっても彼の形見になってしまいました。

 このギターを弾くたび、NIRVANA とハイスタンダードを愛してやまなかった、リアルパンクスな友人を私は思い出します。確かに彼にとってこのギターは大して魅力的には映らなかったのかもしれませんね。でも私には、なんだかそんなことを超えた、彼なりの不器用な友情の証のように思われてならないのです。

 素敵な楽器には、やはり何かしら素敵なエピソードがついて回る物なのかもしれませんね。大切に弾いていこうと思います。長くなりましたがこれで。
--------------------------

2010年2月16日
To 「AR愛好家の部屋」様
From AK
---以上、引用---

 「マイルドセブンが250円」ということで調べてみたところ、確かに2000年前後から2004年くらいがその価格になっていたようです、はい。そのご友人のこと、そしてそのお父様のこと、私には語るべき言葉はございません...。
 いつだったか(そんな昔じゃないのですが)、ひょんなことで知り合った人が(そのブログだったかな??)、「ギターは中古で買いたくない。前の持ち主の情念が入っているような気がするから。」と言っていたのを、ちょっと思い出しました。
 って、今の時期、リイシューのARはともかく、1970年代のものはもちろんのこと、1980年前後〜80年代半ばあたりの(私にとっては最盛期と思われる)ARを手に入れようと思えば、そういう訳には行きません。どうしても前オーナーが(場合によっては複数)いるモノとなります。
 ARではないですけど、私が所有しているIbanezのセミアコにも、トラスロッドカバーがオリジナルではなく、同じ形だけど「Tamara」と刻印されたものがあります。きっと昔のオーナーの奥さんかお嬢さんか(もしかしたら愛人か)の名前だと思います。そのギターを、もしかしたらその愛する女性の前で奏でたりしていたのかも、なんて想像してます。
 一方、1980年代半ば前後あたりのロードスターシリーズのギター。これも十数本所有しているんですが、これらのほとんどは、いわゆる「プレーヤーズ・コンディション」、有り体に言えば「傷だらけ」です。派手なステージ、練習であちこちに傷や凹みがあったり、です。(笑) だけど、これはこれで、一種の「勲章」なのかもしれないなぁ〜、なんて思ったりもしています。

 おおっと、関係ない話になっちゃいました。(笑) しかも日付、変わったし〜。

 とにかく、言いたかったのは、別にARに限定したことじゃないんですけど、「どのギターにも歴史あり」ってことで、結局、私たちはその歴史の中のオーナーの一人なのかもしれないんだよなぁ〜、大事にしなきゃ、ってことです。
(ここまで2010年02月14日)
「Our AR Guitars」のリストに戻る inserted by FC2 system