Yoohwake1973_2615E


 中部地方(って言っていいのかな?)にお住まいのYoohwakeさんが2010年9月初めに入手されたヴィンテージのIbanezギターです。
 これはヤフーオークションに出品されていて、私も気づいてはいたのですが、そして、「おお、これはかなりレアだ...。」と思ったのですが、そろそろ手持ちの数多くのギターたちがコレクション(涙)化してきた、どうにかしなきゃ、って思い始めていたため、入札は考えず(爆)、見守っていたのでした。
 ウォッチリストに登録していたため、「終了間近」の自動メールは届いたのですが、最後まで見届けることなく、そうしたら、別途、他のことで知り合いになった(?)方が、つまりYWさんが落札されたということで...。

 そして、そのYoohwakeさんから頂いたメールに以下のような問い合わせが:
---以下、勝手に転載---
先日念願だった創世期ARを入手しました。

もし型番をお知りでしたらお教えください。

特徴は外見は2614で虎目のメイプルorシカモアトップ、フロントパネル、ディストーションとトレモロ内蔵、セットネック!、星ペグ、ピックアップはIbanez本 "(Ibanez -) The Untold Story"の63Pに載っているModel2392のmaxon製Hi-Power pickup(ダブルポールピース)です。
---以上、勝手に転載---

 このメールを受け取った私は「あれれ...? もしかして、これって...?」と思い、ウォッチリスト終了分を確認したところ、「おお、確かに、あれ、じゃん〜!」と相成った次第で...。(あ、ちなみに、上の「Ibanez本 "(Ibanez -) The Untold Story"」というのは2005年にHoshino USAが出版した英語の本です。星野楽器の歴史とともにIbanezギターのことも詳細に記されています、はい。)

 その時点では、既にこれと同じモデルが「Our AR Guitars」のリストに掲載されていることに思い至らず(爆)、早速、例のごとく、アメリカ最大の、いや、恐らく、世界最大のIbanez関係のマニアによるサイト、Ibanez Collector's Worldのフォーラムに質問を提示しました。

 すると、「ああ、これは前にも話題になったことがあるよ。」って感じで情報が得られました...。2004年の11月に話題になっていたようです。(爆)

 詳細を記すととても長くなるんで、簡単に書いちゃうと:
・シリアルナンバーを持たない1973〜1976年あたりには、同様のデタッチャブルネックのARの先祖が存在していた
・1973年に「セットネック」で、しかも「エフェクター内蔵」だとどういう市場での反応があるのかを調べるためにスポット的に生産されたモデル
・実際には正式なモデルとしては販売に至らなかった
・製造としては20〜40本程度
・同時期にエフェクター内蔵のベース、2615Bがあることから、2615Eと名付けてもいいのでは?(<って、これは上記の、既にリストに登録されているMr. Chin Hon、またの名をMeranti氏による提案)
 
 ついでながら書くと、Rolandブランドで発売された(先駆的な)シンセギターGR-500との関連を示唆する書き込みもありました。<ま、富士弦繋がり、ってことで。

 ま、説明はこれくらいにして、画像です。オークション時に用意された画像、そして出品者さんが別途ヤフーフォトに後悔されていた画像を流用します。(爆)<ま、撮影者がインターネットで公開していたんで、ま、いいかな、ってことで。



あ、前後しますが、オークション開催時の説明文、並びにQ&Aを再掲しておきます。

---説明文---
★☆珍品 Vintage Ibanez Artist? レアなエフェクター搭載機種☆★
非常に珍しい、というかほとんど見たことのある人はいないと思われる古いアイバニーズでございます。
おそらく70年代前半の製造ですが、その頃のカタログにはこれと同一のモデルは載っていません(一番似ているのは2614という機種ですが、そちらにはエフェクターは付いていません)。

最初見たときは2614をベースにした改造品かと思いましたが、筆記体ロゴ時代のアイバニーズが数多く存在するアメリカに住む知人に写真を撮って見せたところ、「同様のモデルを持っている友達がいる。ただし機能したのはトレモロだけ」と言っておりましたので、こういうものは確かに作られていたようです。

外観は古い割りには良好で、最も目立つダメージでもヘッド横1弦側にある塗装の剥がれ程度です。もちろんトラスロッドも効きますしネックの反りも無いです。

しかしフレットはさすがにかなり減っておりまして(5分山程度)、現状でも弾けますがそろそろ打ち替え時です。

搭載されているエフェクターはトレモロとディストーションで、トレモロはスピードの調整が可能ですがディストーションの方は細かな設定は出来ません。しかしチューブ感のある良い歪みだと思います(ディストーションというよりも強く歪ませたオーバードライブといったニュアンスの音です)。

リアPUは断線したので手持ちの中で最も音の近かったGibsonのレギュラーラインのレスポールに付いていたものに交換しました(Gibson USAの刻印のあるもの)。使えませんがオリジナルのPUも付属します。

実際のところエフェクターが付いてるからってそれがどうしたって気もしますし(必要ならばマルチやコンパクトエフェクターを使えば良いのです)、トップ板はアーチを付けられた合板ですから元の定価も知れてますが、このギターの価値は「良いコンディションのヴィンテージのアイバニーズの珍しい機種」というところにあり、つまりはコレクター向きです。
もちろん弾けますが、そこに価値を見出せない方はこのオークションを素通りしてください。逆に言えば海外に多いヴィンテージアイバニーズのコレクターにとってはこれはスゴイ出物、a hell of a findでございます。
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---Q&A---
質問1 投稿者:***** 8月 24日 20時 47分
リアPUが断線とありますがどういう症状なのでしょうか?
回答  8月 24日 22時 13分
断線したら音が出ないんですよ。

質問2 投稿者:***** 8月 28日 21時 26分
こんにちは。リアピックアップはSuper70でしょうか?よろしくお願い致します。
回答  8月 28日 21時 45分
リアはギブソンですよ。

質問3 投稿者:***** 8月 28日 21時 53分
すみません。言葉が足りなかったようです。知りたかったのはオリジナルのピックアップの方です。
回答 8月 28日 22時 9分
PUの裏にはMaxonの刻印がありますし外観も似ていますから、70年代前半のグレコのちょっといい機種に付いていた「ジャズロックタイプ高性能ハンバッキングマイク」と同じものだと思います。マグネットはアルニコです。Super70がこの時代にあったかどうかは私は知りません。
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 ってことで、出品者さんがお答えになっているように、1973年あたりには、もちろんまだSuper70ピックアップは登場していない訳で...。紹介の文面の内容についても「ふむ、ふむ...。」と共感できるもので、この出品者さんともお近づきになりたいなぁ〜、などと密かに感じるHASENOBUでした〜。(笑)

 あ、もう一つついでに。

 今回、シリアルナンバーがない、ということで、ICWの情報では「1975年から付けられている」というのが通説となっていて、それを疑うつもりはさらさらないのですが、念のため(当時、同じ富士弦楽器の工場で製造されていた)グレコギターのスペシャリスト、basketboyさんに電話をして尋ねてみたところ、「グレコでは、確認されている中ではH75****が一番古いシリアルナンバー。」とのことで、ICWのフォーラムに「A75から始まるシリアルナンバーって、実際にあるのですかぁ〜?」という質問をしてみました。そうしたところ、やはりIbanezでも、グレコ同様、H75からだとのことです、ちなみに。なるほどねぇ〜...。
(ここまで2010年09月16日)
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