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 ってことで、またまた唐突にアコースティックギターを1本買った。(笑)
 ま、タイトルで予想がついただろうけれども、以前「段ボール箱で投げ売りされていた2,000円均一のギター」、即ちYAMAHAのダイナミックギターである。前回の分のモデル番号は NO.S-50 (以下、あっさり「50」と表記)だったが今回のはその上位機種(以降、「80」と呼ぶ)になる。今日(12月7日)、職場からの帰り道にふらりと立ち寄った店に「超レア!」というタグ付きで並べられていたのを見て、そして、ま、納得できるほどの安い値段だったために即、入手。うむ、弦高も4ミリ程度で目茶苦茶弾きづらくもないようだし、うっすらとトラ目っぽいし。(笑)

 「ダイナミックギター」そのものについては50を紹介するときに詳しく書いたから省略。ま、少しだけ補足しておくと、この80は、その後出た『丸ごと1冊 YAMAHA FG』という本でもFGシリーズのの前身として写真入りで紹介されていたモデルと同じであり、GONTITIのチチ松村氏のインタビューで触れていたのと恐らく同じモデルのもの。トップ、並びにサウンドホール廻りに、かなり派手な(正直に言うと下品な感じさえする)インレイがはいっている。

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 夜、10時過ぎに自室に籠ってギターをしげしげと眺めてみる。
 ふ〜む、かなり埃を被っているって感じだ...。早速クリーニングを始める。おお...、何だ、この汚れは...? 軽く布で拭き、ポリッシュをかけようとしたら、えらく「のり」が悪い。(笑) げ...、黄色のクロスが真っ黒になるぞ...。

 ってことで、本格的に清掃開始。う〜む、汚れが全体的にこびりついている...。タワシに洗剤をつけてゴシゴシ洗いたい気分になりつつも、丁寧に雑巾がけ。(笑) 最初は堅く絞ったタオルで作業を進めていたがらちがあかないんで(笑)途中からは禁断のマジックリンを使用しての作業となる。
 ところが、作業が進むにつれ、つまり汚れが落ちていくと、元の(?)木目がはっきりと見えてきた。おおお〜、これはかなりのトラ目だ...。見る角度によってかなり印象は異なるんだけれど、ボディバック、そしてサイドも思いがけないほど強烈なものである...。木材は、まず間違いないと思うが、(フレーム(笑))メイプル(の単板)である。う〜ん、光線、角度の関係でうまく写真は撮れていないけれど...。

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 ボディトップはというと、う〜ん、材は不明だけれど、もしかしたらスプルースかな?(笑) 単板なのは間違いない。塗装も不明であるけれど、数多くのウェザーチェック(?)があるところを見ると、もしかしたらラッカー塗装なのか...。(この前、お茶の水の楽器店で見たヴィンテージのマーチンを彷彿とさせるような「ひび割れ」具合である。)
 ブリッジもちゃんとした(笑)木材みたい。50の方は黒塗りされていたけれど、80の方は「木地」(?)がはっきりしたものだ。指板については、う〜ん、材質は不明。エボニーではないし、またローズウッドでもなさそう。もっと明るい茶色で、木目がない。(もしかしてラワン?(爆)) ネックも不明。マホガニーっぽいとは思うけれど、ナトーかもしれないし、確信なし。

 さて、問題の音についてだが、実は(?)これまたご多分に洩れず、ガット弦が張られた状態で売られていてまだ交換していない。(と言うか、最近、ガット弦のギターはケースにしまいっぱなしにしていて弾くことがないんで、しばらくはこれを出しておこうかな、とも思っている。)
 ガット弦の場合、普段から聞きなれていないというのもあるんだけれど、基本的に「甘い音」であるし、テンションが小さいため、さして「サスティーン」が顕著ということもないのだ。>だから音の大小以外にはあまり聞き分けられない。

 現在、50は職場のロッカーの上にハードケースに入れてあって比較できないのだけれど、50のフレットは、他のギターでは見たことのないような、かなり細く、しかも高めの弾きづらいものが打ち込まれていたが、80の方はほんの少しだけ、通常のアコースティックギターに近い感じがするもの。

 ヘッドは通常のクラシックギターと同じスタイルであるが、弦を巻き付ける部分は50同様、金属製。ペグもオリジナルだけれど、きっと無造作に置かれていたのであろう、若干、曲がっている。ただし、50の場合は錆がひどくて注油が必要だったが、このギターはオープンタイプ(笑)なのに大丈夫。
 
 サウンドホールから見えるラベルには「NIPPON GAKKI YAMAHA Dynamic GUITAR PAT.No. 187409 No. 80」と書かれていて、そして(サウンドホールからネック側を覗いた)ネックの接合部には、185278という製造番号と思われる数字が刻印されている。(ただし、最後の78についてはかなり不鮮明だが。)

 50を紹介したときに寄せられた情報ではラベルが「クリーム色なら60年代後半」ということだったが、う〜ん、オレンジ色の縁取りの内部は白っぽい...。退色しているだけかもしれないけれど、上記の文字群の色はかなり鮮明であり、色褪せた印象は受けない。で、良く分からないけれども、1960年代前半のモデルだろうと思われる。私とほぼ同い年って訳だ。

 ということで、50同様、このギターもスティール弦を張ったときには、きっと「バカ鳴り」してくれるであろうことを祈るばかりである。

(ここまで2002年12月10日)

 さて、今日、80の弦を張り替えた。>もちろんスティール弦に、だ。
 ナイロン弦の時にはさして弦高は気にならなかったが、うむ、やはりテンションが違うせいか、ちょっと弾きづらい。だからと言って50の時のように「ブリッジを削る」というような荒技は使いたくない。(ま、面倒なんだけれど。) ってことで、以前、50の対策用に作った直径3.5ミリくらいの金属製の棒をサドル代わりに使ってみたものの、それでもまだ高い。で、さらに50用に加工(笑)してあった、クリップを伸ばして叩き出したモノを使用した。う〜む、ま、これで弦高は2.5ミリくらい。まぁ、いいか、ってところだ。

 話は変わるが、つい先日、ダイナミックギターのことをしらべようと思ってヤフーオークションのアコースティックギター>ヤマハ、と見てみると数本のダイナミックギターが。(ちなみに、私のとは少し異なるが型番は同じ50が3万円で落札されていた!!(爆))
 その中で2本出している方がいて、しかもその説明を読むと「1963年製」とか「1966年製」などと明記されている...。う〜む、何か見分け方があるのだろうか...。
 
 色々と調べてみたところ、初期のヤマハではシリアルナンバーの最初の数字が(西暦の)年代の下一ケタを示しているらしい、という情報を得たが、確証はない。
 
 ってことで、質問コーナー(笑)で「解読法を教えて〜。」と頼んだところ、やはり同じ趣旨の回答が。
 ふ〜む、ってことは、この80はシリアルナンバーが「185278」だから1961年、ってことか...。(ちなみにこれまた確証はないが、どうやらそのあとは月日が続き、そしてその日の中での製造本数が続く、というような情報もある。それで行くならば、この80は「1961年8月5日278本目」という可能性も高い...。

 往々にして(笑)、ギタリストは自分の生まれた年に製造されたモデルを手にしたいと思うことが多いのだが、う〜む、この80、私の「バースイヤーモデル」ってことか...。どうせなら、マーチンのD35だとか、ギブソンやギルドのヴィンテージギターが欲しいところだけれど、ま、この数千円の80が私にはお似合いかも。(笑)

 あ、それで、肝心の(スティール弦を張った)音の方だけれど、う〜ん、ま、なかなか、だと思う。低音はどっしり、中音域もよく響いている。だが、高音の方は、正直なところ(サドルのせいかもしれないけれど)かなりキンキンする感じ。ピエゾのエレアコをアンプで鳴らしたような少し不自然な音...。
 だけど、50同様、全体的に倍音がすごく出てる感じで、音階次第では「おおっ?」と思ってしまうほどだ。
「音の跳ね返りも良く腰のあるサウンド。単音でも和音でも存在感があって、一つのボイシングだけで、その中にストーリー性を感じさせる」、ま、そういうことを言いたくなるようなギターだ。(あ、ごめん、ただ書きました〜。)
(ここまで2002年12月15日)

 ま、ほとんどの人にとってはどうでもいいことだけれど、書き足す。
 上で「このギターは1961年製で私のバースイヤーモデルかも。」ということを書いたばかりだけれど、間違っているみたいだ。(爆)

 最初にこの稿(笑)を書いたときに『丸ごと1冊 YAMAHA FG』という冊子のことにも触れたが、しばらく行方不明だったこの冊子が今日、見つかった。
 で、それによると「6桁シリアルで頭の数字が西暦を表わすという説は、偶然の一致を見ているようで」あるとのことだ...。(爆)
 つまり「185278」という数字はどうやら通し番号のようであり、最初の「1」が西暦の(1960年代の)一桁を表わすのではない、ということだ...。

 上記の本ではFGシリーズの前身であるこのダイナミックギターそのものについての記述は少ないし、不透明だ。1950年代は「アメリカのフォーク・リバイバル(モダン・フォーク)の波が、日本にも広がる」というだけで、その次はいきなり1965年に跳んで「ダイナミック・ギターというスティール弦仕様のオリジナル・ギター(クラシック・ボディ・シェイプ)を製造・販売していたヤマハが、社内にギター開発部門を設置して本格的にフォーク・ギターの研究・開発に取り組む。」という記述...。
 FGシリーズの正式発売は1966年10月、ということで、ま、これは(どうでも)いいんだが、肝心のダイナミックギターはどうなんだ...?

 ってことで、改めてこの本の全編をつぶさに見ていくと、次のようなことが分かった。
1. ダイナミックギターの初期のモデルは「No.1」から始まっていたようである。
2. いくつかあるモデルの中で「No.8」というのは貝細工が施されたが高級モデル。(笑)
3. No.80のモデルは「ラベルのデザインからするとNo.8の後期型と考えられる、らしい。
4. ダイナミックギター・シリーズはその後、品番の頭にSが付く、Sギター(クラシックボディにFG同様のピックガードが付いていた)とFGの登場により製造中止となっていった、らしい。
5. ダイナミックギターNo.1からシリアルを拾い集めると、12300が現物では確認できるもっとも古いシリアルで、以下7桁まで数字が少ない順番に並べてみると、単なる連番の通し番号である傾向が見えてくる。
6. 巻末の方にある「用語集」には「ダイナミック・ギター」の項目のもとに、以下のような記述がある:「1961年12月に登場した、FG-180を開発する以前のヤマハのアコースティック・ギター・シリーズ。クラシック・ボディにスティール弦を張っていた。発売当時はもっとも安いモデルNo.40が4,000円だった。」
7. ちなみに同誌の16ページには(私が持っているのと同じモデルの)No.80(シリアルナンバーは151047)が画像付きで紹介されている。

 う〜む、5と6の記述は矛盾するような気もするんだが...。(笑)

 ま、結局のところ、私のギターについては、どうやら当時のヤマハの量産ギターでは最高峰らしいこと以外(笑)何も正確なことは分からないのだが、どんなに古くても1962年(No.8という前期モデルがあることだし)、どんなに新しくても1966年だってことで了解したい。
 ちなみに、もう一本の「ダイナミックギターもどき」のS-50にしても、う〜ん、謎に戻った感じだが、糸巻きを留めているネジが「プラスネジ」だということを考えると、マイナスネジのNo.80の方が、うん、やっぱり古いんだろうなぁ。
(ここまで2002年12月17日)

 さて、先日放出したダイナミックギターNO.10と同様、このNO.80も私の手元を離れることになった。(って言うか、単に「売り払った」ってことであるが。(笑))
 このところ(2003年初冬〜12月上旬)のヤフーオークションでのダイナミックギターの相場の(笑)動向を、それなりに見てきたんで、何となく「ふむ...。これより下のモデル、特にNO.10などが玉数としては多そうだなぁ...。やはりナンバーが上がるに連れ、つまり元々の価格が高い方が流通量は少なそうだ。」と認識していたし、また、NO.70なのに(笑)最低落札価格が30万円、100万円(爆)という、正気とは思えない設定にして
意味なく再出品を繰り返している事例などもあったりしたのも知っていた。
 そして機が熟したと見た私は(爆)、このNO.80を出品。その結果、自分でも「おいおい...、こんなに...?」と思ってしまう高値になった...。

 正直なところ、楽器で、しかも(大好きな)ギターでお金を儲けたいとか思ってはいない。<ほんとだってば!(笑) もちろん、取り立てて「大損をしたいぃ〜っ!」と強く願うこともないが。(笑)
 
 ま、とにかくそんなこんなでこのギターも私を通り過ぎていったギターたちの仲間入りを果たした訳である。ついでながら、今度の所有者は1960〜70年代のギターを愛している方らしく、他にもダイナミックギター、その他の古くレアなものをたくさんお持ちの方のようで、このNO.80についてもそれなりに満足して下さったようである。
(ここまで2002年12月27日)
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