<PU分解> コイルタップ線だけであれば、PUカバーを外してテープを一部剥がすだけで作業可能なのですが、スイッチマニア系のオーナ氏(とギター)の将来のことを考えて、中途半端な処理はやめ4芯改造を強行させてもらいました。 大半のハムバッキングPUはカバー装着後にワックス含浸処理がされているので、その分解は厳密には好ましいことではありません。ただ、このスーパー58PUについては厳重な含浸処理はなされていないようでしたので、あまり問題はなさそうなだ・・というところです。組み立て後、カバーの上から平均的に軽くハンダコテを当てて、中のワックスを溶かして固めようと考えています。 左がその分解写真です。台座はPAFにならった木製、マホガニーのように見えますね。スーパ58としてはレア(?!)なホワイトボビン。 |
<4芯改造> 単芯線を取り外し、ボビン(コイル)同士を関連しているリード線をばらし4芯線へ改造します。 稼動ポールピース側のコイルのホット→赤、コールド→緑 固定ポールピース側のコイルのホット→黒、コールド→白 将来的に他のエンジニアが修理に問題ないようディマジオに倣って配線しました。 そうそう、シールド線をベースプレートに接続します。 この後、結線部を収縮チューブで絶縁処理し、組み立てサウンドチェックをしました。 ※この改造は、初めてハンダコテを持つような人はやめておいた方がいいと思います。 この作業で使うハンダには、コイル線などを処理する融点の低いものを使ってください。 |
<配線施行> 4つのポットを全てスイッチポットにして・・・と、いざ配線してみるとこれはすごい(笑)。 スイッチの内容は、シリアル−パラレル×2、フロント&リアPUの4つのコイルの組み換え×1、フロントPUのひとつのコイルのフェイズアウト×1・・ということで機能満載です。理論上、切換音色数は24音色。コンデンサはオレンジドロップ715型の0.033μFと同スプラグ(ヒューマンギアブランド)の0.022μF。音色変化を劇的にするために意図的に数値を変えています。ボリュームのハイパスコンデンサは250pFで、ちょっと貴重なCDEの60年代デッドストックを奢りました。 配線材はWESTERN ELECTRICKのこれまた60年代デッドストックの24AWG、ポット−トグルスイッチ、トグルスイッチ−出力ジャックのシールド線はLindy Fralinのもの。ここまでするとコンデンサとの兼ね合いもあり、出音はかなり太くなる筈です。 |
<PUセレクタ交換> 今回の改造では、電装部品をオリジナルPUを除いて全て一新しました。特にトグルスイッチと出力ジャックは、オリジナル品はシールドボックス付きの見た目すごそうなものなのですが、そのケーブルがあまりにもお粗末。もちろんチープな部品を含めてARの音だということにはなりますが・・。 ビンテージギブソンにイバニーズのPUを付けたイメージ・・という今回の私のテーマ(初披露−笑−)もありまして、オリジナルPUの実力を引き出す・・という前提に立ち、チープな部分は全て交換してしまいました。写真はトグルスイッチの配線状況ですが、充分にアースをとることで、ノイズの対策を打ちます。 |
<白ボビン> 双方ともスーパー58ですがボビンの色が違います。 私が所有するAR300(83年)とAR112(83年)のPUボビンは黒だったはず。このAR1500も83年製ですが・・・、83年以前のボビンは白だったのか? その過渡期的な仕様なのか? 例外的に白ボビンが存在するのか不明ですが、とりあえずレアなのではないかと思います。フジゲンにこんな洒落っ気があったとは驚き。ひょっとしてゼブラなんてのも存在するのかしら? とりあえず白ボビンをフロント側に設置してみましたが、別部品で手渡されている関係で実際のところどうだか判りません。PUカバーの傷の付きかた/メッキの剥げかたを鑑みると、フロントに付いていたと考えられるのですが・・。このカバーも昔のオーナーの手で外したあとがあり確実な手がかりではありませんでした。 エスカッションがオリジナルではないのが・・ちょっと残念です。 |